恋愛王子の落とし方
「宮島、ちょっといいか?」

「あ、はい」

たまたま廊下にいたからよかった。

いつも、宮島の回りは人だかりが出来てるからな。

「七瀬の事なんだけど、どしたの?」

知らないフリをして宮島を試すことにした。

「先輩、様子がおかしいですよね。なんか話しかけずらくて」

「理由、それだけじゃないんじゃないの?」

「!!!」

宮島は目を真ん丸にさせた。

僕に誤魔化しは出来ないからな。

「鞍田先輩もなかなか鋭いですよね」

ちょっと呆れ顔で言ってきた。

「そうか?七瀬ほどじゃないけどな」

「先輩にはかないませんから………」

何かありそうだな。

「先輩はいつも俺の上を行く。手を伸ばしても先輩には届かない。俺にもう少し自信があったら本当の事、話せるかもしれないのに。先輩は正直に俺にぶち当たってくれてるのに……」

本当の事は分かんないけど、その他は分かった。

「お前ら似た者同士だな~」

「何がですか?」

「お前は素直な奴だと思ってたのに意外に言えないこともあるんだな。七瀬に言ってあげたらどうなの?」

「これは、先輩を悲しませることだから言えないっす。先輩には笑ってて欲しいから」

まーた。

こいつら相手の事を考えすぎてて空回りしてんだな。

もったいない。
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