恋愛王子の落とし方
駅に行く途中、久留間と先輩を見つけてしまった。

なんか悔しくてつい尾行してしまった。

ストーカーではないんだけど、先輩はめっちゃ無防備だから怖い。

先輩が襲われると思うと寒気がする。

それに俺の先輩に何かしないか見張るだけだし。

大事な人を守るだけだしさ、それぐらいいいじゃんか。

「久留間くん、コンビニ寄っていい?」

なに、仲良くしてんだよ!

俺だって先輩と帰ったことあんまりないんだぞ!

今すぐあいつの顔面を殴りたいと思う気持ちを必死に押さえて見ていた。

「アイス奢ってくれてありがと」

立ち食いすんのかよ!

調子に乗って奢るなよな。

「あ、先輩。口にアイスが」

久留間は先輩の口に付いたアイスを拭う。

「ありがと」

顔色ひとつ変えず、平然とお礼を言う先輩に腹が立つ。

それ以上にさらっとそういうことする久留間を殴りたくなる。

今にも飛び出して殴りかかりそうだった。

ドン!

音に驚いて振り返った。

「先輩…………」

なんと久留間が先輩に壁ドンをしたのだ。

「何?」

「俺さ、先輩のこと……………」

久留間は明らかに先輩の唇を狙っている。

だって、めっちゃ顔を近づけてるし。

いてもたってもいられなくて、先輩たちの方へ飛び出した。
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