恋愛王子の落とし方
「おい!」

急いで引き剥がし、先輩を抱き締める。

「み、宮島くん!?」

先輩は顔を赤くしている。

「先輩、久留間がどんな奴か分かってる?」

「え?」

「久留間は女の唇を片っ端から奪う奴だよ!」

先輩が驚いた顔で固まっている。

「そんな…………」

「おい、久留間。俺の先輩には手ぇ出すなっつといただろ?」

「ごめん何言ってるか分かんない。人違いじゃない?」

まだとぼけるか!

「なら何で先輩に手ぇ出そうとした?」

「好きだからだよ」

「この嘘つき。俺は知ってるぞ?お前が今まで何をしてきたのか。色んな人から相談が相次いでるんだ、そろそろ止めた方がいいんじゃないのか?」

「……………はは。虚言もいい加減にしたまえ。俺の何を知ってるんだ?」

まだ言うか。

「知ってるよ。お前の全てを。だって、小中高と同じだろ、俺たち」

は?と言いたげな顔で固まっている。

これで何も言えないだろ。

「どうもすいませんでした。はい、以後このようなことはしません。…………これでいいだろ?」

「誓えよ?」

「もちろん」

笑いながら久留間は帰っていった。

次、先輩に手ぇ出したらマジで訴えようかな。

なんて、恐ろしいことを考えながらその背中を見送った。
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