恋愛王子の落とし方
ヒナタside

俺はこの日をどれだけ待ちわびていたことか分からない。

これまで大好きな先輩に再会したのはいいものの、なかなか自分がヒナだって言えなかった。

惨めでバカな俺は俺自身が嫌いだった。

それでも全然変わってない先輩を見てると胸が苦しかった。

俺はあの時から変わってしまったから。

先輩に会うために俺は努力した。

髪を金髪に戻し、弱々しい自分から抜け出した。

精神的にも肉体的にも強くなった俺は自信しかなかった。

これなら先輩を迎えに行けるって。

でも、いざと思うと足が震えた。

再会したあの日も話したかったのに声が出なかった。

俺の根本は変わってなかったんだ。

だから、今まで言えなかった。
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