恋愛王子の落とし方
意外にもルリは普通だった。

「そっか、分かった!私も話したいことがあるから放課後、屋上に来て」

なぜ笑顔なのか分からなかった。

けど、嫌な予感がした。

屋上に行くときに大人か友達を呼んでおけばよかった。

僕はここで間違いを犯していたんだ。

放課後、屋上に行くとルリが裸足で立っていた。

「私ね、昔から変な子だったんだ。好きになった人に求められたいのに、むしろ嫌われてたの。でも、仁だけは愛してくれてた。ありがとね」

「…………何、言ってるんだよ」

「えー。最期の別れの挨拶だよ?だって、もう仁に私は必要ないもん。じゃあね!」

そう言って、手すりの向こうに行った。

「バイバイ…………」

僕に微笑んだルリは落ちていった。

「ルリ!!!」

手を伸ばしても、もう遅く、ルリは下に落ちた。
< 179 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop