恋愛王子の落とし方
あれは小学校二年生の春。

俺が引っ越す二ヶ月前。

昆虫図鑑を借りたくて、先輩と二人で図書館に行った。

「ヒナちゃん行こっ!」

ヒナちゃん、ヒナちゃんと弱かった俺を引っ張っていってくれる。

俺はそんな先輩に何度救われたか分からない。

昆虫図鑑を借り終わって帰ろうとしたとき、母の日前でレターセットが館内に置いてあるのを見つけた。

「カナちゃん、手紙書き合お」

この手紙で先輩に感謝の気持ちを伝えたくて、提案した。

それで手紙を書き合った。

司書の人にお願いして庭に埋めてもらった。

タイムカプセルみたいにいつか先輩と取りに来ようと思っていた。
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