恋愛王子の落とし方
「おまたせ」

自分の部屋に戻ると先輩は座っていた。

「緊張してんの?」

俺が言える立場じゃないのに聞いてみた。

「うん…………だって、初めてだし。こうやって誰かとクリスマスを過ごすの」

え?

先輩、友達といそうなのに。

「サキとミナともいたことないの。私、家でずっと掃除してたんだ」

そ、掃除?

クリスマスに?

「この時期ってお母さん、体調崩しやすいの。だから、時期的にこの日に掃除しなきゃいけないんだ」

先輩はクリスマスそっちのけでお母さんの事ばかり考えてたんだ。

「今日はね、特別に来たんだ。もちろん帰ってから掃除するけどねっ。どうしてもヒナタと居たかったの」

やばい。

「………帰さないって言ったら?」

「へ?」

みるみるうちに先輩の顔は赤くなる。
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