恋愛王子の落とし方
「そろそろ帰ろっか」

「うん」

恋人繋ぎをし、警備員さんにバレないようこそこそ昇降口に行った。

靴を持って、ヒナタ曰くいつも開いている職員玄関に向かった。

「………本当に開いてる」

驚きつつ、学校を出た。

辺りはすっかり暗くなっていた。

「お母さん心配してるよね」

「そうだな」

繋いだ手は暖かくてなんだか安心する。

帰りたくない。

でも、そんなことは言えるはずもなく。

「じゃあね」

「ああ」

そのまま別れることしか出来なかった。
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