恋愛王子の落とし方
様子が気になってユキの家に行った。

今日のユキはソワソワしている。

「俺、カナに言わないといけない事があるんだ」

いきなり何を言い出しかと思えば、深呼吸している。

「カナの事が好きだ」

ユキの真っ直ぐで切実な言い方にキュンときた。

いつの間にかユキも大人になったな。

「…………ごめん」

「分かってる。カナが一番好きなのは宮島先輩なんだってことは」

それなら何で………。

「それでも俺は気持ちを伝えたいんだ」

ごめんね。

私はヒナタが一番好きで、大切な人なの。

ユキのことも好きだけど、ヒナタの好きとは違う。

ポロポロと涙が落ちる。

「……私を………好きになってくれてありがと…………」

はにかんだ笑顔をした。

声が震えてて情けなかったけど、今の私にはこれが精一杯。

これ以上は何も言えなかった。

「泣かないでよ。カナは笑った方が可愛いからさ、いつもみたいに笑っていてよ。宮島先輩がカナのこと泣かせたらすぐに駆けつけるからね」

いつもと変わらぬ笑顔だった。

ユキの柔らかな笑顔が私の心を軽くしてくれた。

本当にありがとう、そしてごめんね。
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