恋愛王子の落とし方
「いい加減、カナって呼んでよ」

先輩は怒り口調でそう言ってきた。

さすがに呼ぶしかないのかな。

「なんで呼んでくれないの?」

くっ!

そんなつぶらな瞳で見られたら何も言えない。

それまで「恥ずかしくて言えない!」と言おうとしていた自分はどこへ行ったのか。

「………えっと、ごめん」

それしか言えなかった。

「呼んでみて」

「………カ、カ、カ、カ………ナ」

「だーめ。しっかり呼んで」

「……………カナ」

「そうそう!これからはそうしてね?」

上目づかいがマジで可愛い。

俺、可愛さでやられてるから。

今にも倒れそうだから。
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