恋愛王子の落とし方
その後、お母さんから結果を聞いて驚いた。

記憶喪失と診断されたそうだ。

しかも、俺との記憶が綺麗さっぱりなくなっているそうだ。

つまり、カナの人生から俺は消えたのだ。

泣きたくなった。

今までのカナはいない。

俺のことを完全に忘れている。

原因は昔、脳を損傷して、それが何かのきっかけで今さらに損傷したということだ。

それを聞いて、俺には思い当たることがあった。

図書館の階段から落ちたときに負った傷かもしれない。

こうなったのも俺のせいだ。

あの時、家まで送っててカナのお母さんに報告すればよかった。

病院で見てもらうように言えばよかった。

全て、俺が悪い。
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