恋愛王子の落とし方
昼休み、宮島くんとの待ち合わせ場所の屋上に行った。

今日は幸い誰もいないようだ。

「まだかしら?」

時計を見る。

私が一番早く教室を出てきたから宮島くんが今いるはずがない。

だって、廊下歩いてたときも人あんまりいなかったし。

「先輩、すいません」

「いいわよ」

「クラスの奴らに捕まったんだ」

「へえ~?」

「もうすぐ体育祭あるじゃないすか、それですよ」

もうそんな時期か。

私たちの学校の体育祭は期末テストよりも前に行われる。

期末テストまであと二ヶ月。

すなわち、体育祭まで一ヶ月ということ。

「早いわね」

「おばあちゃんみたいな事、言わないで下さいよ」

「おばあちゃんじゃない!」

肝心なことを聞き忘れたまま昼休みは終わった。
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