Romantic love
「…………あ!」

ふとこたつの上に置いてあるものを見て、私は思わず声を上げた。

そうだ、そういえば昨日、私は彼に、手帳の後ろのページを破って、ケータイ番号を書いたメモを渡したはず。

手帳を手に取って一番後ろのページを確認すると、ページの下の端を記憶通りに破ってあった。

やっぱりそらくんは、昨日の夜ここにいた。

どうして消えてしまったのかわからないけど。

もしかしたら、急にクローゼットか玄関が通れるようになったとか?

でも、それなら一言くらい、声かけてくれたっていいのに。

それに、電話番号渡したんだから、連絡くらいくれてもいいのに。

そうだ、私の家の住所だって知ってるんだから、訪ねてくれればいいのに。

結局夜になるまで、私は鳴らないケータイと誰も訪ねて来ない玄関を、何度も何度も交互に眺めては、深いため息をついた。

クローゼットの中だって何回も覗いた。

でも服が掛かってるだけ。


彼の人懐っこい笑顔が頭から離れない。

なんで消えちゃったの?

「うさぎちゃんに出会うためかもね」って言ったくせに。

心の中のモヤモヤが、どんどん大きくなっていく。

このまま、もう会えないの?


あれ…………? 

ああ、そっか。

私、もう一度そらくんに会いたいんだ。

どうしてかわからないけど、とにかく、会いたくてたまらないみたい。
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