Romantic love
5日目。

昨日までと同じように、今日も夜中の1時にゲートが開いた。

そして、クローゼットの中から、そらくんが現れる。

いつも通りこたつに入って、つけっぱなしの深夜番組の音声をBGMに、他愛ないお喋りをする。

「今日ね、母さんに『最近やたら機嫌いいけど、なんかいいことあったの?』って訊かれてさ」

「そうなんだ、なんて答えたの?」

「彼女できた、って言っちゃった」

そらくんはへへっと笑った。

彼女って言われたのが嬉しくて、でもちょっと照れ臭くて、だから、そらくんの真似をして、私もへへっと笑った。

「でもさあ、全然信じてくんないの。俺、まじでモテないからさー」

「そうなんだ?」

そらくん、見た目かっこいいのに。

モテないなんて、なんか意外。

「うん。だから、そのうち連れてくるって言っちゃった」

「え、私を?そらくんちに?」

家に遊びに行くということは、当然お昼間ということだろう。

そこに少しの違和感を覚えて、私は思わず首を傾げた。

「あ、うさぎちゃんうち来るのやだ?」

そんな私の様子を見て、そらくんが不安そうに尋ねたから、私は慌てて首を横に振った。

「ううん、全然!」

違和感を感じたのは、私達の世界が、今まで真夜中のこの部屋だけだからだ。

限られた時間、限られた場所でしか一緒にいられない……。

どこかでそんな風に思い込んでしまっていたのだ。

会う気になれば、いつだって会える距離に住んでいるはずなのに。

「じゃあ今度連れてってね」

それでも正確な日時を決めようとしないのは、どこかで不安だからだ。

私とそらくんは、本当にここ以外で会えるの?

全てのことは、本当に現実なの?
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