Romantic love
でも、1時間なんて短い時間は、あっという間に終わってしまう。

「あ、地震………」

「もう1時間経ったの?早くね?」

「うん、早いね」

「もしさー、俺がこのまま帰らなかったらどうなんのかね~?」

「………か、帰れなくなったら困るし、一旦帰った方がいいんじゃないかな?」

「だよなー」

本当は「帰らないで」って言いたかった。でも、言えなかった。

だって、そらくんはゲートを通ってうちに来ていて、次にゲートが開くまで、玄関からも窓からも外に出ることができない。

きっと今、ゲートが開く最後なのに、もしそれをスルーしたら、そらくんはどうやって家に帰る?

私の家から永遠に出られない、なんてことになったら?

それよりも、もっと怖いことが起きるかもしれない。

……例えば、そらくんが消えてしまうとか。

理屈がわからないことが起きている以上、とんでもないことが起きてもおかしくない。

結局私は。

現実だと信じているから、家に帰したい。

でも完全には信じきれないから、今離れるのが怖いのだ。
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