Romantic love
やけに喉が乾いていたので、ようやくこたつを抜け出した。

暖房つけっぱなしの上に、こたつに入っていたから、体の中の水分が抜けてしまってカラカラだ。

このまま朝までこたつで寝てたら、干物になってしまったかもしれない。

キッチンに行って、冷蔵庫の中にあった2リットルのペットボトルのお茶を、コップにも移さずにそのまま口飲みした。

こたつで寝落ちして、喉乾いて真夜中にペットの茶をしばく女子って……。

ほら、やっぱりロマンチックとはずいぶんかけ離れ……。


ガタンッ


小さな物音。

部屋の方からだ。

何だろうと思った矢先。


「えーっ?!!」


突然、部屋の方から大きな声。

私はびっくりし過ぎて、飲んでいたお茶をブホッと吐き出した。

「全然意味わかんないんだけど!……って戻れねーし!」

若い男の声だ。

……今の声、隣から??

いや、絶対に部屋の中からだ。

ってことは、部屋に誰かいる?!

……いやいやいや、今さっきまで誰もいなかったし!

玄関から入ったならキッチン通るし、窓は鍵閉まってるし……。

あ、そっか。

テレビの声か。

自己完結して、でも、テレビにしてはボリュームが大きすぎる気がして、少しだけびびりながら、部屋に戻ると。

「………………だ、だだだだだだ、だれ?!」

部屋の真ん中に、知らない男の人の後ろ姿が!

「……きみこそ、誰?」

私の声に、ゆっくりと振り向いた彼は、

「てか、まじでここどこ?」

キョトンとした顔で、こちらを見つめるのだった。
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