Romantic love
そんなわけで、10日後の土曜日の午後。

私はお母さんと駅で待ち合わせして、一緒に陽子さんの家に向かった。

お母さん、なんだかいつもよりメイクが濃い。

同性の幼馴染みと会うのって、そんなに気合い入れるものなのだろうか。

なんだか面白い。

陽子さんの家は、私の今住んでいるアパートと、駅を挟んで反対側、南口の方だ。

栄えているのは北口の方で、住宅街の南口にはあまり用がないから、殆ど歩いたことがなかった。

「あ、そういえば、そこの角を曲がった先に、ちょっと有名な神社があるのよ」

「へえ、そうなの?」

と答えながら、神社という響きに、なにか引っかかりを覚えた。

神社……神社…………あれ?

神社の境内の風景が、一瞬頭をよぎる。

……この神社は、どこの神社?

「縁結びの神様なの。ご利益がすごいって有名なのよ」

「ふーん、縁結びねえ」

「あなたもいい加減、彼氏ができるように、神様にお祈りしてきたら?」

「余計なお世話です」

神社の記憶は気になったけれど、ちゃんと思い出せそうにはないから、今は一旦諦めることにした。
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