Romantic love
少しして、奥から陽子さんらしき小柄な女性が、パタパタと出てきた。

「久しぶり!同窓会以来だよね。ちょっと老けたんじゃないの?」

「そう言うあなたこそ、すっかりおばさんになったわよ?」

このやり取りを聞いて、お母さんがメイクに気合を入れた理由を、なんとなく察した。

「言ってくれるじゃない。…………あら?」

陽子さんは、私の方に視線をやった。

「もしかして、うさぎちゃん?」

陽子さんを覚えていない私は、名前を呼ばれて少し戸惑いながら、ペコリと頭を下げた。

「すっかりお姉さんになったねえ。うちにお嫁に来るって言ってた頃が懐かしいな」

陽子さんは、目を細めて笑った。

どうやら幼い私は、本当にそんなことを言っていたらしい。

なんだかちょっと恥ずかしかった。

「陽子ちゃん、息子さんはいないの?」

「お昼まではいたんだけど……どっか出かけたみたい」

「あら残念」

「そのうち帰って来るんじゃない?さ、とりあえず上がって」

眉の端を下げてふにゃっと笑うその顔は、なんだか見覚えがあるような気がした。
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