似非王子と欠陥令嬢【番外編】
「…王宮を飛ばそうとしました。」

「…は?」

意味が分からずポカンと口が開いてしまう。

キャロルはズボンのポケットの羊皮紙を出してくれと頼み、後ろで眺めていたレオンが手を伸ばす。

羊皮紙を開いたレオンは目を輝かせた。

「えっ何これ!!!
めちゃくちゃ面白いじゃん!!!」

「なんだいレオン?」

「城を飛ばすんだよ城を!!!」

「いやだからそれが意味が分からないんだけど…。」

魔女すげえ!!と爆笑しているレオンに困惑した視線を向けているとキャロルが口を開いた。

「…最近シャルドネ国が何やら動きがきな臭いと議題に上がりまして。」

「あぁ、私も義母の出身国だから疑いたくはないんだけど事実だね。」

「そこで有事に備えて城の守りを固めようと言う話になりまして。
現在防護壁等は施してありますのでそれよりも強固に守れる方法を考える事になりまして。」

「なるほどね。
それで?」

「城を飛ばそうと。」

「うん、ごめん。
そこだね。
そこがやっぱり意味が分からない。」

やはり何故城を飛ばすのか理解が追い付かない。

後ろで羊皮紙を覗いている2人は1人は爆笑し1人は憐れみの目をキャロルに向けている。

一体何に対して憐れんでいるのだろうか。

「…この前絵本で天空の城ってのを見まして。
天空の城とか防御力最強じゃね?と思いまして。」

「…うん。」

「そのまあマリアヌ国の王宮を天空の城にしようと思い、魔道具を作成致しまして。
今夜は夜会という事で人が集まるのでより重量が増えている時に飛ばせるか試したいと思い…。」

「………うん。」

「地面事飛ばす作戦だったのですが城の土台が予想以上に深かった為抉る範囲が足りず失敗しました。」

「…。」

この子馬鹿だ。

頭良いけど馬鹿だ。

危ないタイプの馬鹿だ。

「…えっとキャロル嬢。
もしだよ?
もし成功していたとしてだよ?
夜会が大混乱に陥って天空から客人が堕ちる事になる可能性は考えなかったのかい?
というか飛ばしてどうやって降ろす予定だったの?」

ルシウスが問いかけるとレオンが涙目になりながら羊皮紙を差し出す。

羊皮紙にはキャロルの考えた理想図が描かれている。

「…なるほどね。
地面と城を跳ね橋で繋ぐ予定だったのね。」

「はい。」

「…この跳ね橋が出来るまでに城の人間餓死しそうだとかは思わないかい?」

ルシウスの問いにキャロルは目を逸らす。
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