淡い光
もう仕事に行かなければならない時間になり立ち上がると途端に強い頭痛に襲われた。
まるで脳だけが回転しているかのような目眩も感じ、突然な事に受け身も取れず倒れ込んだ。
母が私の名前を必死に呼びながら肩を揺する、慌てて病院に電話を掛ける姿がぼんやりと見えるが、視界は次第に暗くなっていく。
音が、意識が途絶えた瞬間、もの凄いスピードで上へと引っ張られた。
今までの楽しかった事や辛かった事が一気に脳内で思い出されていく。
気付くと私は暗闇にいて。
足元は芝生の様にフサフサしていて、歩くと草道を歩いているような感覚がした。
淡い光が私の目前に現れて咄嗟にそこに焦点を合わせると、夢で見たあのトンネルが見えた。
向こう側には一人の男性が佇んでいる。