淡い光
ーーーお兄ちゃんは蒼(あおい)、妹はさやか
嬉しそうに微笑む母親の声がだんだんと小さくなり、遂に私はトンネルを抜けた。
私の兄になるはずだった、蒼と名付けられた彼の顔を初めて見た。
母に似た面持ちで、双子だけあり私にも何処と無く似ているものがあった。
涙が一筋頬を伝い、微笑みながら彼の名を呼ぶ。
「蒼」
うんと優しく微笑みながら彼は私をぎゅっと抱き締めた。
兄だけあり安心感を覚える。
離れていても繋がりは消えていなくて。
兄はずっと私を見守ってくれていた。
兄が私に警告してくれていたのは、ストレスによる脳への負荷が脳死を引き起こさせると言う未来を教えてくれていたからだったのだ。