淡い光
目を開けて見えた景色はまるで森にいるかのような緑と古びたトンネルの向こうに佇む一人の男性。
皮膚をつまんでも痛みが無いという事から、これは夢なのだと理解した。
太陽が木々の隙間から垣間見え眩しさを少しだけ感じる。
男性の顔は陽の光で見えなかったが、直感的に同い年であると思った。
どこか懐かしさを感じる彼にもっと近付きたいと思い前へ進むが一向に距離が縮まらない。
混乱しつつもその男性をじっと見つめる。私に何かを訴えかけているようだった。
時折口元が優しく微笑んだり、心配そうにしたり、伝わる雰囲気は様々で。
普通ならこんな夢怖くて逃げ出したいだろう。しかし私は、この夢を怖いとは感じなかった。
むしろ明るくとても温かいもので、正直この夢から覚める事が無いように心のどこかで祈ってしまう程に心地の良いものだった。