淡い光
Ⅲ.淡い光
今日も私はあの夢を見る。しかし今回はいつもと違った。
私がトンネルの中へ入ると、その向こうにいる男性も私に近付いて来たのだ。
生憎、中が暗いせいで顔が見えにくいがとても優しい人だという事は雰囲気から感じ取った。
そして驚く事に彼と会話が出来るではないか。
「さやか、ずっと見守って居たよ」
落ち着いた優しい声色。
恋情とは違った心の中にストンと落ちてくるものがあって。
“ なぜ私の名前を知って居るのか ”
そんな警戒心も吹き飛んでしまう程、既に私は彼自身を信じきっていて、
故に会話もスムーズに行えた。
「僕はずっと、さやかの傍に居た」