淡い光
「準備をした方が良いよ。お母さんに伝えたい事があるならこの夢から覚めた後ちゃんと話すんだ、良いね?」
「準備って何?何をすれば良いの?」
混乱しながら問う私を彼はただ見つめていて。
今は話してはいけない事なのだろうと、話せるのはここまでなのだろうと何となく悟った。
瞬間パチリと目が覚めて時間を確認すると朝の6時だった。
階下から母が朝食を作っている音とテレビの音が微かに聞こえる。
「おはようお母さん、あのね、私お母さんに伝えたい事があるの」
夢の中で会った彼が言っていた、起きたら母に伝えたい事を伝えるという事。
夢なのに触られた感触も、肌の温度もまるで現実のようだった。
実際に会っていたような感覚で、だからこそ私は彼の言葉を信じた。