“愛”の色は、何色ですか?
「・・ハァ・・・。
もうすっかりあの子の方が、
力も体力も私を上回って・・・。」
「彼は今いくつですか?」
「23歳です。
・・あ、ミハルと同い年ですよ。」
「あの子は・・“知的障がい者”・・ですかね?」
「ええ・・。
落ち着きが無かったり、自分が考えている事をうまく言葉に出来なかったり・・。
他人とのコミュニケーションが苦手な子なんです。
それでいつもああやって暴れ回っては、
色んな人にぶつかって・・。」
「彼もこの施設は長いんですか?」
「はい。あの子がまだずっと小さかった頃から私が面倒見てます。」
「って事はあの子もミハルちゃんと同じ“支援施設”の方で暮らしてたのか・・。
あんな乱暴そうな子がいて、
ミハルちゃん大丈夫だったんですか?」
「それが・・何故かタロウはミハルにだけは絶対にぶつからなかったんですよ。
“ミハルは目が見えない”っていう事をちゃんと理解してたみたいで、
彼女がビックリしないように、
いつも傍を通る時はスピード緩めて、あの子の歩行を優先してあげてましたから。」
「なんだ。レディに優しい紳士な子じゃないですか。」
「ええ。誤解されやすいけど、
ホントは心の優しい子なんですよ。
勉強だって、ずっと座って集中する事ができないだけで・・・。
昔、園長先生が遊びの一環で密かにあの子の“IQ”を図ったらしいんですけど・・
200は軽く越えてたそうです。」
「それは凄い・・。“天才となんとやらは紙一重”ってよく言いますからね。」