“愛”の色は、何色ですか?
“厚揚げ愛”を語る真田さんが俳優の話を持ち出したところで、
俺達の上司、
刑事課 川辺課長がやって来た。
「3人とも今日は徹夜できるか?」
「できません。
もう今日は疲れました。」
早苗さんが食い気味に回答したので、
川辺課長は苦笑いを浮かべる。
「まぁそう言わずに頼むよ。
今度ミスド買ってやるから。」
“困った時はポン・デ・リング”
と俺達の中で暗黙の了解になっている、
大好物が川辺課長の口から出たので、早苗さんも“しょうがないですねぇ~”と引き下がった。
「事件ですか?」
真田さんは調書を作っていたノートPCを既に閉じている。
「南町1丁目のアパート“レジデンス古谷”で火災の通報があった。
通報が早かった事が幸いして、
被害は最小限に留まったけど、
火元となった103号室はかなり焼けたみたいで、
その中から住人とおぼしき焼死体が発見された。」
南町1丁目と聞いて、ここに戻る前に寄ったコンビニで見かけた消防車が頭をよぎる。