“愛”の色は、何色ですか?
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「元気でなサトシ。
またいつでも遊びにおいで。」
「園長先生、
今まで本当にお世話になりました。
落ち着いたら手紙出しますね。
ミハルも、ナツコも。
みんなの事頼んだよ。」
中学を卒業して春から高校へ通う私に、
悲しいお別れが訪れた。
児童養護施設“まごころの家”に入居していいのは18歳未満の子供だけ。
高校を卒業したサトシお兄ちゃんがここから出て行くのは分かっていた事だけど、
それでもやっぱり悲しかった。
県外の大学へ進学して、
一人暮らしを始めるサトシお兄ちゃんを園長先生達と見送りながら、
私は涙を我慢できないでいた。
隣に立つなっちゃんも、その息づかいから私と同じ様に泣いているのが伝わった。