“愛”の色は、何色ですか?
自分の部屋に戻って、サトシお兄ちゃんからの手紙を両手で噛み締めながら読んだ。
“まだ慣れていないので、
間違ってたらごめんね”
そう前置きされていたけど、サトシお兄ちゃんの点字は何一つ間違っていなかった。
何より・・一生懸命この手紙を打ってくれたのが伝わり、
ポタポタと涙が落ちながら私の両手は紙をなぞっていた。
大学生活、一人暮らしの様子。
新しい環境。
“まだまだたくさん勉強が必要だけど、
大学を卒業したら、
まごころの家で働きたいと、
園長先生や中原先生のような大人になりたいって改めて強く感じています。”
凄いな・・・もうやりたい事がはっきりしていて・・・。
私も・・頑張らないと・・。
手紙を読み終わってすぐ、
私は返信用の点字を打っていた。
この日から、サトシお兄ちゃんから来る点字の手紙は、1枚また1枚と机の上に重なっていった。