“愛”の色は、何色ですか?


「・・・・・・・・・。」


早苗さんが軽く手を挙げて、
ベンチから立ち上がった。


永井ミハルは俺達の気配を察したのか、
キョロキョロと顔を動かす。



「どうぞ真田様。
ミハルちゃんのお隣へ。」


「お前はホント気が利くな。」


「・・・このスケベ。」


早苗さんが真田さんの肩を軽くパンチするが、

お構いなしにミハルの隣に座ったので、
俺はその前に立った。


「初めましてミハルちゃん。

島田刑事と同じ、
ムコウジマ警察署の真田です。」

「同じく、小西です。」




「真田さんと・・小西さん・・・。」


「少しは落ち着いたかな?」


「・・・はい・・・。」


「どういう状況なのかも説明は受けた?」


「・・・なっちゃん・・・が・・
ホントになっちゃんが・・?」


「残念ながら・・・。」





目はずっと開いた状態で、
止めども無く溢れる涙。


ミハルは真田さんの言葉を聞き、
声を上げながら号泣した。


誰もいない夜間の病院。

悲鳴にも似た彼女の泣き声が廊下にこだまする。


早苗さんもその様子を見て、

真田さんと反対サイドに回り込んで、
ミハルの背中をさすっていた。


< 33 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop