きっともう好きじゃない。


お尻と背中がじんじんと痺れてきた。

膝に回した手もぷるぷるしてる。


「だから、電気つけろって」


ドアが開く音とまおちゃんの声、両方同時に耳に届いた。

パッと部屋が明るくなって、閉じた瞼がぴくぴく震える。


「で、何してんのかなー、和華ちゃん」


わざとらしいちゃん付け。

まおちゃんはベッドに乗って、上からわたしを覗いているみたい。

つむじをかき混ぜるみたいに指先でくるくるっていじられるから、首を揺すって拒否を示す。


「わーか、起きてる?」


「寝てる。だから電気消してた」


パソコンとかスマホを触っていて電気をつけていないっていうなら、まおちゃんの言い分も受け入れる。

だけど、わたしは膝を抱えて座っていただけ。

寝てたって言い訳も通用する。


「ふうん……寝てるなら、俺帰ろうかな」


「やだ」


「やだろ? じゃあ、こっちおいで」


ぽんって肩を叩かれて、ゆっくりと顔を上げる。

まおちゃんは両腕を広げてわたしを待ってた。

こっちおいでって、隣においでとか、とりあえずそこから出ておいでって意味じゃないの。


どうしたらいいのかわからくて、ちらっとドアの方へ目を向ける。

入ってきたときにまおちゃんはきちんと閉め切ったみたいで、薫にどうにかしてもらうのは無理そうだ。


「まおちゃん」


困り果てて、困らされている張本人に助けを求める。

まおちゃんは意地悪気な笑みを浮かべるだけで、うんともすんとも言わない。


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