きっともう好きじゃない。
「それとあいつの写真とかメッセージ、関係ある?」
「まおちゃんの彼女、参考にしたいから」
「……は?」
怒ってるのか、呆れてるのか、困っているのか。
みっつが混じったような声だった。
好きがバレないように誤魔化したのはいいけど、最初の要求とは結びつかない答えのせいで、ちょっと動揺したのはわたしだったんだけど、まおちゃんが上手くハマってくれてよかった。
「和華は違うだろ」
「違うって?」
「そういうのじゃなくて、自然体のままで……和華のままでいい」
それをまおちゃんが言うと説得力がないんだって。
わたしのままで、まおちゃんはわたしのものにならなかったんだもん。
「いつかなんて来なくっていいって、俺は思うよ」
シーツの上をまおちゃんの指先が掻く。
わたしの方へ来たがっているように見えるのは、きっと気の所為。
あの指先に、わたしの爪は溶かせない。
想いも、溶かしてくれないまま、まおちゃんに届かないまま、固まって取れない。
溶けなくていい、まおちゃんの指先に魔法なんていらないから。
まおちゃんが摩ったわたしの指の爪みたいに、いつか、心まで。
すり減って、すり切れてしまえばいいのに。