きっともう好きじゃない。
明日はちゃんとまおちゃんを突き放すから。
今度はちゃんと、これが最後って決めるから。
だから、もう少しだけまおちゃんと一緒にいさせてって、わたしのワガママを叶え続けてきた。
「ずっと一緒にいられるってわかってるなら、願ったりしない」
まおちゃんに彼女ができたから。
きっとわたしとまおちゃんはずっと一緒にはいられない。
それでも、何かの間違いか奇跡が起きて、もしかしたらずっと一緒にいられるかもしれないって思ってた。
心構えも、覚悟も、切なさも、ぜんぶ抱えてきた。
捨てられずにずっと持っていなきゃいけないって思うと、大切なはずのそれを粉々に砕いてしまいたくなるくらい。
「まおちゃんに彼女がいないなら、わたしのぜんぶ、無駄だったってこと……?」
涙に濡れたひどい顔で薫を見上げた。
薫はびっくりしたみたいに目を見開いて、それから苦しそうな顔をする。
「だから、俺、言っただろ。眞央はやめとけって」
「ねえ、なんでまおちゃん、嘘つくの?」
「知らねえよ」
胸も頭もいっぱいいっぱいで、もとから満ちていたものが溢れていくのか、押し寄せた新しい感情が零れていくのか、わからない。
薫を困らせたいわけじゃない。
聞き分けなきゃいけない。子どもじゃないんだから。
まおちゃんが本当に嘘を吐いているのか、もうほとんど疑いに向いているけど、薫の憶測で勘違いかもしれない。
まおちゃん、何で嘘を吐いたの?
もし、わたしと薫の勘違いで、まおちゃんに本当に彼女がいるのなら、それでもいいんだ。
嫌だって思ってたくせに、そっちの方がややこしくないよって言いたくなるわたしもいる。
まおちゃんが隠してることぜんぶ、教えてよ。
嘘を吐くのなら、吐き通すか本当になるまでボロを出さないでよ。
わたし、まおちゃんのことが好きだ。
たぶん、まおちゃんもわたしが好きだった。
でも、まおちゃんはわたしのこと、きっともう好きじゃない。
まおちゃんに彼女ができて、そう思ったから諦める準備とか、ぜんぶまおちゃんの前では無駄にしながらも頑張ってきたのに。
わたしもう、まおちゃんがどうしたいのかわからない。