きっともう好きじゃない。


まおちゃんの部屋に来たのは、随分と久しぶりだ。

何年も来ていない。

会うとしたら、わたしの家とわたしの部屋だったから。


リビングにはまおちゃんの両親の気配がちゃんとあって、挨拶をしていこうとしたんだけど、まおちゃんに止められた。

繋いだままの手を決して離さずに引っ張られて、廊下の先、わたしと同じ場所にある部屋に入る。


物そのものが増えていることと、配置が記憶とは違う。

ベッドと机の向き以外は、少しずつ変わっているように見える。


「和華、こっち」


ベッドに腰掛けて、わたしの手を引く。

隣に座ることなんて、別に珍しくない。

これより近い距離だって、何度もあった。


自分がどんな顔をまおちゃんに向けているのかがわかってしまうから、余計に逸らしたくて堪らない。

まおちゃんのこと、こわがってる顔なんて見せたくないんだよ。

だけど、すぐにいつも通りに戻るのは難しそうだから。


膝の裏がベッドにくっつくくらい深く腰掛けるまおちゃんの隣に、お尻の半分だけで浅く座る。

そこでようやく、まおちゃんはわたしの手を解放してくれた。


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