きっともう好きじゃない。
「ね、かおる、そんな顔しないで」
怒りの矛先を見失って、放っておくと薫が自分自身に向けてしまいそうだった。
それだけは、止めないといけない。
手を伸ばして、薫の髪を撫でる。
されるがままの薫に、ぽつりぽつりと話し始める。
「わたしと同じだけの想いを持っていてほしいって、まおちゃんに望める立場じゃないことは、わかってるの」
わたしの気持ちは、そんなに強くない。
大きいけど、強くない。
だから、押し負けた。
辛かったから、苦しかったから、まおちゃんを好きでいることを止めたがった。
止まりたいって望んだ想いに、まおちゃんは応えてくれただけだ。
卒業したから、もうあの頃とは違うからって、もう一度膨らみ始めたわたしの想いとは違って、まおちゃんの好きは微動だにしない。
もし、あの頃に戻れたとしたも、わたしはまた同じことを繰り返す。
そうしたら、今度はわたしの好きも固めてしまおう。
いつか、もう一度なんて決して望まないように。