きっともう好きじゃない。
◇
「止めるんじゃなくて、壊せばよかったの」
あの後、わたしは学校に行かなくなった。
怪我がお母さんに見つかって、どうしたい? って聞かれたときにようやく、ずっと逃げたかったことを知った。
まおちゃんと自分の気持ちからだけじゃなくて、当時の環境からも。
3年生になってからは一度も登校せずに、同じクラスになったまおちゃんと学校で顔を合わせることもないまま卒業。
配布物を届けに来てくれていたまおちゃんと少しずつ以前のような会話ができるようになって、お互いに進路が決まる頃にはあの一件なんてなかったように、幼馴染みに戻った。
恋人ならずっとを望める。
だけど、幼馴染みはずっとを望めない。
きっと、ずっと一緒にはいられないことがわかっていたから、ずっと一緒にいたいって口にするようになったんだけど、それも叶わないんだと思う。
「わたしが、また好きになったから」
また膨らみ始めた想いをまおちゃんにも求めた。
止まってって言ったけど、たぶんまた動き始めてもいいと思うんだ、なんてあまりにも都合のいいことを考えて。
だけど、まおちゃんに彼女ができた。
今度は、止めなきゃいけないのはわたしだけだと思ってた。
「もう、わからないよ」
まおちゃんの好きも、また動き出していたの?
今は、動いてる? 止まってる?
もし、動いているのなら、今度はちゃんと重ねよう。
そう言いたかったのに、こんなことになってしまって。
残ったのは、嘘とほんの少しの真実。
それから、見えないまおちゃんの気持ちだけ。