私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
――帰ってからめちゃくちゃ揉めた、それが。

指環を買った日。
家でようやく、佑司は箱を開けた。

「チー、手、出して」

嫌々、だけど右手を出す。
でも強引に左手を掴まれた。

「俺はこっちに嵌めたいんだ」

「仮押さえの印だからって、右手で納得したじゃないですか!」

こんなことなら買わなきゃよかった、なんて後悔したってもう遅い。

「だって俺、モテるし?
だったら、左手につけてないと意味ないし?
それなら、チーも左手じゃないとおかしいし?」

あんたがモテるなんて知らん。
あ、いや、モテるのは知っている。
飲み会のときとかよく、女性に囲まれているし。
でもそれなら左手につけていないと意味がない、の理屈がわからん。

「別に右手でも問題ないんじゃないですかね……?」
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