私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「いい、が三層は無理だな。
高さが出てしまう。
二層にして……」

すでに京屋部長は考え込んでいる。
しかも、欠点にもう気づいているし。
だから三十代で部長なんだろうけど。

凄い勢いでタブレットに繋がれたキーボードを叩き出す。
最後に勢いよくエンターキーを押して京屋部長が顔を上げ、キラリと眼鏡が光った。

「よし、データ送ったからそれで資料作って開発部へ回しとけ。
俺はちょっと出てくるから」

パソコンを確認したら、すでにデータが送られてきていた。
さすが、仕事が早い。

「いってらっしゃいませ」

「ん、じゃあ。
……よかった、チーに相談して。
代替え案なしでダメ出しなんてできないもんな」

ぼそぼそと京屋部長が呟き、振り返る。
けれどすでに、彼は出ていったあとだった。

……なんだったんだろ、いまの。
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