私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
第4章 昔付き合っていた人
帰りの車の中、佑司は無言だった。
あんなことがあったらいつもなら鬱陶しいくらい、いろいろ訊いてくるはずなのだ。
なのに、なにも言わないのは返って怖い。

家に帰っても、それ切って、あれ取ってくらいで、まともな会話はない。
一言も話さない夕食は、酷く居心地が悪かった。

「あのですね!
言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうなんですか!?」

テーブルに箸を叩きつけた、バン!という音が広いリビングダイニングに響き渡る。

「……チーって呼んでいいのは俺だけなのに」

「はいっ!?」

俯いて、佑司はちまちまご飯を一粒ずつ口に運んでいる。

「なんですか!?」

「チーって呼んでいいのは俺だけなのに!
あいつ、チーのことチーとか呼んでた!」

「……はぁーっ」
< 144 / 312 >

この作品をシェア

pagetop