私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「京屋部長、かわいそー」

こそこそと話す声へ目を向ける。
視線のあった彼女たちはばつが悪そうに私の視界から出ていった。

ああそうか、きっと彼女たちが佑司に告げ口したんだ。
だいたい、誰が見るかわからない会社のカフェテリアで待ち合わせなんかしたのが間違いだったのだ。
でも私にはそれだけ、駿と会うことに罪の意識はなかった。

「もう、やだ……」

こんな自分が。
わかっていたのだ、佑司と付き合えばいずれ、こんなことになるだろうって。
なのにあのとき。

「……はぁーっ」

「チー、帰るぞ」

声をかけられ、俯いていた顔を上げる。
目のあった佑司はすぐに、すーっと逸らした。

「……はい」

上げたくもない重い腰を上げ、俯いて佑司の後ろを歩く。
< 202 / 312 >

この作品をシェア

pagetop