私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
車に乗ってもまだ、バッグを握りしめて俯いていた。

「……」

佑司は黙って運転している。
重苦しい空気の中、場違いに明るい洋楽が流れる。

「……その」

「……」

「……出ていきますから」

「……!」

佑司が勢いよく私の方を向き、それにつられてハンドルが切られる。

――パパーッ!

――キューッ!

後続車にクラクションを鳴らされ、急ハンドルを切って彼は車を元に戻した。

「……どういうことだ?」

静かな佑司の声は、怒っているのかなんなのかわからない。
< 203 / 312 >

この作品をシェア

pagetop