私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
「……私が一緒にいたら、佑司を傷つけるから」

付き合ったりしなければ、こんなふうに彼を傷つけなかった。
そもそも私にはそんな資格などなかったのに。

「……恋人ごっこは終わりにしましょう?
佑司だって傷つきたくないですよね」

じわじわと浮いてきた涙を慌てて拭う。
傷ついているのは私じゃない、佑司だ。

「チーは俺を傷つけたくないから、別れるっていうのか」

「……はい」

「それは好きっていうのとなにが違うのか」

「……はい?」

どうして、そんな結論になるのかがわからない。
思わず佑司の顔を見上げたけれど、彼はじっと前を見て運転するばかりだった。

「チーは俺が好きだから、俺を傷つけたくないんじゃないのか」

そう、なんだろうか。
佑司を傷つけたのは、自分が傷ついたくらい痛かった。
こんな思いをもうしてほしくないから、別れようと思った。
< 204 / 312 >

この作品をシェア

pagetop