私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
思いっきり押しのけようとするけれどびくともしない。

「許すとか、そんな」

「あの頃からチーは全然変わってないよね。
ううん、前よりずっと可愛くなった。
再会したのもなにかの運命だよ。
だからやり直そう、僕たち。
今度は上手くいくと思うんだ」

駿がなにを言っているのかちっとも理解できない。
それにさらにぐいぐい押してきて身の危険を感じた。

「私は駿が好き」

――じゃない。

その言葉は駿の唇に遮られる。
暴れる私の手は駿の手によって壁に押さえつけられた。
身体の中に酒臭い息が入ってくる。
涙でにじんだ視界に見えたのは――佑司の、姿。

「……!」

駿の手を振り払おうとするが、離れない。
目のあった佑司は私から視線を逸らし、足早にその場を去っていった。
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