私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
声をかけようとしたけれど、まるで逃げるように佑司は他の人のところへ行ってしまった。

その後も何度も。

佑司がどこから見ていたかはわからないが、キスされていたところを見たのは確実だ。
いくら無理矢理でもあれが、不正解なのはわかる。

陽気な周囲の声が妙に遠い。
私だけぽつんと、別の世界にでもいるようだ。

それからしばらくして、お開きになった。
ずっと深海にいるかのように苦しくてたまらなかったが、唯一よかったのは先に帰ったのかあれから駿が姿を見せなかったことだ。

「二次会行く人ー」

佑司はすでに、そちらのグループに入っている。
一緒についていくべきか悩んだ。

「八木原も行くよな」

気を利かせた先輩が訊いてくれる。
ちらっと佑司をうかがったけれど、すーっと視線を逸らされた。

「……今日は帰ります」
< 276 / 312 >

この作品をシェア

pagetop