私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
エピローグ
「一護、一護」

お姉ちゃんが泣いている。
泣きやんでほしくて手を舐めたら、もっと泣かれた。
顔を舐めてあげたいけど、僕はもう起き上がれない。



お姉ちゃんは隣の家のお姉ちゃんだ。
僕がこの家に来たときは、ランドセルを背負っていた。

「可愛い犬!
ぬいぐるみみたい!」

初めて僕を見たとき、お姉ちゃんはそう言って僕を抱きしめてきた。
なんだかいい匂いがして、僕はいっぺんにお姉ちゃんが好きになったんだ。

お姉ちゃんはしょっちゅう僕の家に来ては、ブラッシングしたりお散歩に連れていってくれたりした。

「みんな、誰々が好きーとかって盛り上がってるけど、全然わかんない」

お姉ちゃんはときどき、ちょっと難しそうな、悲しそうな顔をしている。
そういうときはべろんと顔を舐めた。
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