私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
深澤部長は、私をよく可愛がってくださった。
きっと、娘に接している感じだったんだろうと思う。
京屋部長と同じで、もうちょっと感情を抑える術を身につけた方がいいよって、よく注意してくださった。

「それで部下になったら、深澤サンが言ってたとおりの子だった。
裏表なくて、すぐ感情的になるのが玉に瑕。
でも、……そんなところが可愛い」

顔を上げた京屋部長が、目を細めて笑う。
彼らしくない弱々しい笑顔に一瞬、――胸がとくんと甘く鼓動した。

「だから俺は、チーが好きなんだ」

「……」

なんて返事をしていいのかわからなくて、もくもくとメインの宮崎牛の網焼きローストを食べる。
せっかくのA5ランク宮崎牛なのに、味はちっともわからない。
沈黙の中メインを食べ終わり、デザートが出てくる。

「チーが俺を嫌いじゃないなら。
……付き合って、ほしい。
絶対に損はさせないから」

泣きだしそうなその笑顔に。
< 42 / 312 >

この作品をシェア

pagetop