私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
男――京屋(きょうや)部長の結論は出そうにないので無視を決め込み、私は持ち込んだノートパソコンで自分の仕事をする。
それでなくても彼のせいで、私の仕事は多いのだ。
なので私の時間を無駄にしてほしくない。

「チー、なんかないか?
……いてっ」

すねを押さえて京屋部長が眼鏡の奥から私を睨む。
いかんいかん、つい、足が出ていた。

「……だーかーらー。
そう呼ばないでくださいって何度言ったらわかるんですか」

私がじろっと睨んだって、京屋部長はニヤニヤ笑っている。
ほんと、ムカつく。

「だって、千重(ちえ)でチビだからチーだろ」

「だから!」

私が投げたボールペンを、彼はひょいっと何事もなくよけた。
そのうえ後ろに落ちたそれを、椅子を立って拾い、私の前に戻してくるからさらにムカついてくる。

確かに、私よりというよりも、一般男性よりも背の高い彼からみればチビですが?
でもチビって言われて嬉しいわけがない。
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