大人になれない。
母と父は私が3歳の頃に離婚して
私は母親に引き取られた。
父が大好きだった。
離婚という言葉を
幼い私はまだ知らなかった。
父とまだ一緒に過ごしていた時は
毎日が楽しかった訳ではないけれど
色々な場所に行ったと思う。
よく家族で出掛けていたのを覚えてる。
記憶は曖昧だけれども
休みの日になれば朝から父に起こされ
「起きろ!出掛けるぞ!!」
父はいつもそう言って私達を起こす。
朝は苦手だし
正直だるかった時もあったけれど
それでも
父の休みの日が楽しみだった。
よく覚えているのは夏になれば
フェリーに乗って沖縄に行ったこと。
子供ながらに
地図を覚えられるほどの回数行った
ディズニーランド。
冬には何度か
崖の様な場所から落ちそうになったスキー。
あの頃
楽しかった記憶は鮮明に覚えてる。
母と父と3人で作った手作りパン。
母と作ったプリン。
雪が降った時には雪だるまを作って
小さい雪だるまを冷凍庫で保管して
本当に楽しかったし幸せだったと思う。
それから
あの頃はまだ子供もパチンコ屋に入れて
父と母とパチンコ屋に行って
落ちてる玉を拾って父や母の隣で
打ち方もわからない
パチンコで遊んでたのを覚えてる。
当たれば褒めてもらえて
それが嬉しくて嬉しくて
玉拾いに没頭したり。
でもいつからか
父は帰宅時間が遅くなり
母は私を1人にする時間が増えた。
お留守番は
寂しかったけど同じマンションの
隣の部屋に住んでいるひとつ上の男の子のお家へ
お邪魔したりして寂しさを紛らわしてた。
お隣さんとご飯を食べたり
今考えると本当に迷惑だったと思うけど
遅い時間までお邪魔させてもらって
遊ばせてもらったりしてた
家族で出掛けることは無くなって
いつからか
記憶にあるのは父と母の怒鳴り声。
私が寝室へ行くと
リビングでは母が
ラジカセのような物のスイッチを入れて
父と母の怒鳴りあいが始まり
いつも母は泣いていた気がする。
私はそれを
耳を塞いで布団に潜り聞いているか
こっそり覗き見したりしていた。
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