俺、鈴木かずやは生徒と不倫しています。
朝、いつもより早く出勤した。


途中で買ったコーヒーを飲みながら今日の授業の資料を作っていた。



次々とほかの先生たちが出勤してくる。


まりなのことを待っていると、職員室の前でおどおどしているまりながいた。



俺はまりなに気づいてもらえるように手招きをした。


それに気が付いたまりなは

「おはようございます」


と言って職員室に入ってくるなり、俺は席を立ってまりなのもとに行った。



「外に出て」


と誘導をして2階の生物準備室へと向かった。


何を話していいか分からず、何も話すことがないまま向かった。






生物準備室は俺の隠れ家的存在だ。


疲れたとき、気分を変えたいときはここに来て休んだり、仕事を持ち込んだりしている。


生徒をこの教室にいれたのはもちろん、まりなが初めてだ。


俺が席に着くと、相変わらずきょろきょろしている。

顔は無表情なままだ。




「おいで」


とそっと手を伸ばすとまりなは俺の手をぎゅっと握った。

まりなはふふっと笑った。



膝の上にのせて俺は
ごめんなっと言った。




俺が今発したごめんは本当にまりなに対してのごめんだったのだろうか。



まりなは
首を傾げて、

「先生。これからどうなるの?」


果たしてどうなるのだろうか。
それは俺にも分からないんだ。


もちろん、まりなにしてしまったことは本当に申し訳ないと思っている。
しかし、俺には奥さんもいて、家族がいて。


選ぶことなんてできなかった。


欲張りでわがままかもしれないが


俺はどちらも好きなんだ。
愛しているんだと。




「逆にまりなはどうしたい?」


俺の答えはもうでているよ。
まりな。


少し苦しそうなまりなは必死に考えて、葛藤がおるのだろうと心から感じた。


そして、まりなは口を開く。


「先生。私は…先生と一緒に居たい。でも、先生とこの答えが一緒じゃないなら辞める」


俺の答えと一致していたことが奇跡だと感じて、思わず固まってしまった。
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