俺、鈴木かずやは生徒と不倫しています。
まりなは不安そうな顔をしている。


俺は



「答え一緒だ」

と口にしようとした瞬間俺の頭の中には家族の顔が浮かんだ。



ああ、俺、既婚者なんだった。



これ以上、まりなとの仲を深めてしまったら、俺はもう、まりなののことを自分のものにしたいと絶対に思ってしまうに違いない。

だから、俺は自分の気持ちを押し殺して






「俺は、お前とそれ以上の関係は望んでいない。結婚もしているし」




この言葉を発した瞬間、彼女の表情は一気に変わった。



きっと、
ああ、私なんで、こんなこと言っちゃったんだろ。

と思っているんじゃないかと思った。


彼女の表情からわかることは


「後悔」と「悲しみ」



だろう。



「だよね。私、忘れていたよ。先生が既婚者だったってこと」


なんとか絞り出して言ったまりなのその切ない顔に俺は負けた。






「でも、お前が俺としたいなら考慮するよ」





俺はもう、大バカ者だ。
こんな都市にもなって自分の感情をもコントロールできない。



まりなの表情は土砂降りから快晴へと変わった。
なんなら、虹でも出ているかのよう。



「じゃあ、私に初めて教えてくれる？」


と甘えた声で言うまりなは子犬のようにかわいかった。
この笑顔を守ってあげたいとそう思ったのだ。



「しょうがないな」


と口では言うけれど違う。

まりなはホッとして肩を休める。


「まりな」


ん？と同時に俺はまりなのほっぺにそっとキスをした。
< 33 / 66 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop