俺、鈴木かずやは生徒と不倫しています。
 まりなは固まってしまった。


俺はまりなを助ける使命と責任がある。


俺はエンジンを止めて、運転席から降りる。




「悪い、悪い」


とまりなの元へと行く。


担任は悪い目をしていた。
すごく、怪しんでいた。



「どういうことですか?鈴木先生」



と聞かれたので



「何、言ってるんですか?いまから、生物の実験に使う材料買いに行くんですが…」

と言うと、まだ、完全には疑いは担任の中では晴れていないみたいだが担任はまりなを褒めて帰宅していった。



周りにいないことを確認して車に乗り込むなり

「うわーマジで焦った」

っとつい本音が出てしまう。

あの時、平常心で言ったつもりだったが、心臓はバクバクしていた。

一旦、お茶を飲んで落ち着かせる。


車を走らせて、もちろん生物の実験の材料を買いに行くわけではなくいつもの場所に行く。



後部座席に行くなり、俺はまりなを強く抱きしめた。

届いているか分からないが、でも伝えたくて。


「ごめんな」

と小さく言った。




まりなの心に届いたのか

まりなは俺の耳元に顔を近づけ、
「いいよ、好きなようにして。私を」




その、一言でごめんという思いでまりなを抱いた。


まりなの触れるところ全部が最初は冷たいけど、俺の体温で温かくなっていく。

俺は最終、まりなにぎゅっとしてもらいながら知らない間に眠りについていたみたいだった。


その中で俺は夢を見た。
めったに夢なんか見ないが、ふわふわとした気持ちで夢を見ていた。



それは、数十年後だろう。
俺は退職して老後を楽しんでいる。
隣にいるのは数年先に買うのであろう愛犬と孫、隣で笑っているのは




まりなだった。




「先生。8時だよ」


とまりなの声で目を覚ます。

でも、まりなの腕の中はあったかくてぬくもりがあって、まだ、離れたくなかった。




「もうちょっとこのままで」



とまりなの胸に顔をうずくめる。



まりなは俺の頭をよしよしとして優しく俺の頭にぽんっと手を置いた。




ぶーっと通知が鳴る。
まりなに気づかれないようにそっと見ると、京香からだった。



ふと起き上がって


「家の近くまで送るわ」


と言って、まりなの身体から離れる。



運転席に戻ると、エンジンをつけ、まりなを家の近くまで送って行ってあげた。
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